Reading よみもの

【レポート】「地球が壊れる前に」上映会&トークショー「地球に優しくミニマムで満足な生き方とは?」


鮫島弘子氏「ファッションは大量生産・大量消費でいいのか?」

一方、鮮やかなピンク色のワンピースに革のジャケットで登壇したのは、エチオピアで生産されるレザーバックやジャケットなどのファッションブランド「株式会社andu amet(アンドゥアメット)」を営む鮫島弘子氏。2012年、エチオピアで起業。今では大手百貨店や人気セレクトショップを始め、ANAファーストクラス・ビジネスクラスでも販売されるようになった。昨年は、表参道に直営店もオープン。一歩一歩着実に成長してきた。そんな鮫島氏は、かつて有名ブランドでデザインやマーケティングを担当していた。

鮫島氏40億、30億、この数字は何の数字かわかりますか?40億は年間に日本市場に供給される洋服の数、30億は年間に捨てられる洋服の数です。

毎日たくさんの洋服が作られ、時には新品でさえ捨てるファッション業界の現状を目の当たりにし、このままそういう製品を自分が作り続けるのかと自問自答の日々だったという。

「捨てられていた羊の革」との出会い

そんな中、出会ったのが、エチオピアでは十分に活用されていなかった食肉用の羊の皮だった。エチオピアの羊の革、シープスキンは、世界最高峰と言われるほど非常に柔らかく、軽くて丈夫。鮫島氏は持参した羊の革にペンを強く押しつけ、引っ張っても破れないことを実践して見せてくれた。こんなに良い素材を捨てるなんてもったいない!鮫島氏は会社を辞め、その羊の革を使ってバッグを作った。

特徴は、アフリカの色鮮やかさと、日本の伝統工芸の美しさを組み合わせたデザイン。ずっと使い続けられる飽きの来ないデザインにこだわった。

トークショー後に鮫島氏から聞いた話だが、革はその性質からロスが出やすく、エチオピアのシープスキンの場合は、1/3は使えないそうだ。しかし、寄木細工や編み込みなど日本の技法を参考に、デザインを工夫することで、なるべくロスを出さない工夫をしているという。また、皮をなめす工程は、環境に配慮して、有害物質が含まれないような汚水処理をしている工場とのみ取引しているそうだ。さらに、なめし工場への定期訪問も欠かさない。きちんと稼働しているか、自分の目で確かめるためだ。

鮫島氏「エチオピアでも革なめし工場では浄化システムを取り入れることが法で義務付けられています。でも工場へ訪れると、実際にはシステムが導入されていなかったり、あっても稼働していなかったりなんてざらです。お金がかかりますからね。」

ファストファッションが引き起こす問題

大量生産することで安く販売できるファストファッション。以前は多くの企業の工場は中国にあったが、人件費の高騰が影響し、今では南アジアのバングラディシュやアフリカのエチオピアなどにも工場が建てられるようになってきているという。工場建設のため、緑豊かな森林が切り倒されていく。工場ができれば、雇用に一役買っているのでは?と思いきや、ひと月の給料はなんと約5000円。もちろん、そんなお給料ではエチオピアでも暮らしていけないそうだ。

アフリカに工場を作っているのは、大手有名ブランドの下請けの下請けの下請け…。何か問題が起きれば、有名ブランドは下請けを切って終わり。そういう現状がエチオピアに住んでいると見えてしまうという。

使う人、作る人、みんなが幸せになるようなモノづくりを

現在、エチオピアにある「andu amet」の工房で働く社員は12人。20代後半~30代前半が多く、男女の比率は半々。独身が多いが、社内結婚をした人もいる。赤ちゃん連れで働くのも当たり前だ。製品作りはすべてハンドメイドで行っている。一流の技術を身につけた彼らの賃金は、エチオピアの平均給与の2、3倍はあるという。

鮫島氏「エチオピアには最高のレザーがありましたが、バッグやジャケットにするための十分な技術がなかったため、原料である革の状態での輸出に依存していました。付加価値が低く、国際価格にも左右されやすい上、技術を育てる機会を持てず、また原料の輸出に依存・・・という悪循環がおきていたのです。

当社が高い技術を移転したことで、職人ひとりひとりが技術や収入を得ることができただけでなく、産業構造自体が変わりつつあります。」

もちろん発展途上国と呼ばれている国々にも可能性がある人たちがたくさんいて、仕事もあるにはある。しかし、劣悪な労働環境だったり、賃金が十分でなかったり、知識や技術を習得する機会を得られなかったり、仕事に誇りを持って働いている人は少ないのが現状だ。また、素晴らしい素材があっても、技術がないため、付加価値の低い原材料のまま他国に輸出せざるを得ない。産業構造自体が良き方向に変化することで、初めて「使う人、作る人、みんなが幸せになるモノづくり」が生まれるという。

鮫島氏「職人がひどい生活を強いられていて、優雅な生活をしているであろうお客様を恨みながら作っていたら?衛生的に問題ある場所で作られていて、中が細菌だらけだったら?そんなバッグ、自分なら持ちたくないですよね。職人が幸せだったり、工場が清潔で光に満ちていたりすることで、製品にもポジティブなオーラが宿り、それがきっとお客様にも伝わると信じています。」

社会的意義のあるもの”が売れるシリコンバレー

最近、ファッション業界では「エシカル(倫理的な)」「サスティナブル(持続可能な)」という言葉をよく耳にする。鮫島氏の「andu amet」はまさにそれを実践したモノづくりをしているわけだが、これまでは、あえてそこをアピールしないようにしてきたという。わざわざそういう背景を説明しなくても「良いものは売れる」と考えていたからだ。ところが、昨年シリコンバレーに行き、考えが変わった。「見た目がかわいいとか、安いとか、そんな理由だけで買う人はこの町にはいない。まず、そのプロダクトに共感できる社会的意義があるかどうか。それがあって初めて、この製品の見た目や値段を見る。」と言われたからだ。

鮫島氏「知的に成熟した社会だなと思いました。今後、日本をそういう社会にしていくために、日本からは見え難いアフリカで起きている現実や、自分たちの使命についてももっと伝えていかなくてはならないと思うようになりました。」
 

次ページへ


お二人が考える「ミニマムでも満足のいく生き方」とは?

ナレーター 小柴寿美子
Green Planet with Kids 副代表。
透明感のある明るい声が特徴。元NHK契約キャスター、リポーターとして、前橋局、福島局、首都圏放送センターにて7年のキャリアを積む。取材を通して蚕に夢中になり、自宅で蚕300頭を飼育した経験も。茶道や着付けを学び、和の文化を好む。福島県会津若松市出身。

ページ:
1

2

3 4

ピックアップ記事

  1. 風邪やインフルエンザにオススメの「植物療法(フィトセラピー)」
  2. 雑誌掲載『美しくなるフードセラピー 夏』ファスティング特集にて紹介されました。
  3. 「親子の触れ合い(タッチ)」がもたらす効果とは
  4. 冷え改善!巡り改善!血流促進で体を内側から温めるおうちヨガ
  5. HACCOBE-発酵美-インスタグラム春のキャンペーン当選者様ご紹介

関連記事

  1. Mama&Baby 子育て

    環境ホルモンってなに?ひ孫の代まで影響。環境ホルモンについてわかりやすく解説!

    「環境ホルモン」は身体に悪い影響があるといわれ、その言葉も広く知られる…

  2. Organic(オーガニック)

    森をつくる農法「アグロフォレストリー」昨今注目される訳

    アグロフォレストリーとは、森林農法ともいわれ、その土地にある生態系を生…

  3. Reading よみもの

    気になる「厄年」、厄祓い・厄除けをする意味と心構えとは?

    新年から節分の時期は神社やお寺へ足を運ぶ方も多く、また、厄除け行事も盛…

  4. Organic(オーガニック)

    世界最大級オーガニック見本市ビオファ2018年視察レポート

    2018年のドイツ見本市ビオファは2月14日〜17日の四日間開催されま…

  5. イベント後記

    【発酵教室】豆味噌作り教室後記

    2月17日(日)【新春発酵教室】豆味噌作りを開催致しました。おかげ…

  6. Diet ダイエット

    酢の健康効果は凄かった!夏こそ「酢」の力でカラダを整える!!

    実は、私たちは暑い季節になると無意識的に身体を整えようと「酸味」を選ん…

RECOMMENDED COLUMN

  1. 朝ストレッチ画像
  2. 三年番茶 ほうじ茶
  3. 味噌WS画像

READING








【発酵美おすすめアイテム】植物性乳酸菌発酵飲料「ファストザイム」


HACCOBE COLUMINIST

  • HACCOBE 編集部
  • ゆったりマクロビ美人食 松崎 恭子
  • オーガニック専門家 レムケなつこ
  • 植物療法コンサルタント 井上知佳
  • スピリチュアルカウンセラー 星野 まりな
  • ファミリーコーディネーター 加藤由香里
  • 料理家、ローフードベジ料理教室happycheesekitchen 主宰chie
  • ディライトフルデザイナー ディアナ幡司しのぶ
  • 健康ライフコーディネーター 柳樂 いづみ
  • 「マナヨガ」代表 yuuka
  • マスターオーガニックコーディネーター KAERU
  • 体質改善オーガニック料理研究家 楳村郁子
  • 家族が飛んで帰りたくなるオウチごはん 篠崎 房子
  • 開明⊙コンサルタント=開運のプロフェッショナル 篤田奉和
  • ナレーター 小柴寿美子
veggy vol.61掲載

RECENT POST





HACCOBE運営企業 株式会社セルアップは、株式会社グローリー・インターナショナル社 Fastzyme(ファストザイム)720㎖の総代理店です。
  1. Organic(オーガニック)

    意外と知らない「日本茶」残留農薬の実態とオーガニックの真価を気づかせてくれる本物…
  2. Organic(オーガニック)

    【カカオレシピ】米粉とおからのヴィーガンケーキ
  3. 冷え性女性

    Food 食

    ストレスと冷えの関係。「冬」身体を芯から温める簡単な方法をご紹介。
  4. マクロビチョコマフィン画像

    Recipe レシピ

    【グルテンフリー&マクロビ】糖質ひかえめ!米粉とおからのチョコレートマ…
  5. 稲画像

    Food 食

    世間に広がるマクロビオティックの「誤解」と「ホント」。自分に合った食事法ってある…
PAGE TOP